2016年12月14日水曜日

第3回むらメディア修練場を開催しました!


地域メディアを学ぶ3回講座「むらメディア修練場」、最終回を開催しました!この講座では、水源地の村づくりにとりくむ奈良県川上村で、村づくりのコンセプトや活動をWebサイトを通じて魅力的に発信する仲間を募り、情報発信のノウハウを一緒に学んでいくことを目的としています。

第1回はモリジュンヤさんを講師として「取材の極意」を。そして第2回は、元 greenz.jp 編集長/京都精華大学特任講師の兼松佳宏さんを講師として「企画・編集の極意」を学びました。最終回となる今回は、studio-L 代表の山崎亮さんを講師として、「地域づくりの極意」を学びます。


はじめに:他己紹介記事を発表!







第1回では取材の練習として、参加者同士で取材をしました。その時の内容をもとに、取材した人について記事を作ってくることが今回までの宿題。今回はまず、その記事を紹介しあうことからスタートしました。「他の人に言われて始めて気づくことがあるんですよね」という前回講師の兼松さんの言葉どおり、思わぬ気づきが多かったようです。


コミュニティデザイン×情報発信を学ぶ




今回のテーマは「地域づくりの極意」。3回講座の集大成として、地域づくりをしながら情報発信をしていく方法を学んでいきます。コミュニティデザインとは、地域コミュニティが一緒になってビジョンや空間やモノをデザインしていくこと。今回の講座を運営している studio-L はコミュニティデザイナーとして、地域コミュニティによるデザインを お手伝いしています。

そんなコミュニティデザインの視点で見る「情報発信」には、3つのステップがありました。ステップ1は、テレビや新聞、はたまた日常的なSNSの発信などの一般的な情報発信。ステップ2は、他の人たちが地域課題を解決する情報を発信していくこと。ステップ3ではそこからさらに踏み込んで、「自分たち」が地域課題に取り組み姿自体を発信していくことです。これまでの講座では、情報発信の土台としてステップ2のノウハウを学んできました。今回は「自分たち」(1人ではなく、仲間と一緒に)を主語とした情報発信について学びます。


事例で学ぶ「コミュニティデザイン×情報発信」




実際のところ、「『自分たち』を主語とした情報発信」とはどうやっていくのか!?について、studio-L代表/コミュニティデザイナーの山崎さんより泉北ニュータウンの事例「泉北をつむぐ まちとわたしプロジェクト」を用いて教えていただきました。



 泉北ニュータウンでは、全体的な高齢化と若年層の転出、未利用地の増加などで、地域の魅力が低下してきていました。そこで「泉北に住みたい!」と思う人を増やしていくために、自分たちが魅力づくりに取り組む姿自体を情報発信していくことに。名づけて「自作自演の魅力づくり」。市民が自分たちで魅力をつくり(自分たちで演じる)、それを発信しています。


例えば、「レモンの街ストーリー」。泉北ニュータウンには緑豊かな庭がたくさんあり、普通であればその庭を自慢する情報発信をするでしょう。しかしこのプロジェクトでは、ある人の庭でレモンが育っていることに着目。レモンを街中の庭で育てて、ジャムなどのレシピをつくり、泉北ニュータウンを「レモンの街」にしていこう!という取り組みが始まりました。この取り組みをFacebookやホームページで発信していくと、大きな反響が。2年前から始めた プロジェクトのFacebookページ は、今では1000いいね!を越えました。今では市民が自分たちでどんどん取り組みを発信していて、仲間も増えているようです。


そのほか、島根県海士町の集落支援員の取り組みや、千葉県睦沢町の県道づくりの事例も少しずつ、紹介していただきました。いずれも、自分たちが商品づくりや拠点づくりを楽しむ姿自体を発信している事例です。これから新しく開設される川上村のホームページも、地域の人たちの顔と取り組みが見えるメディアに育てていきたいと思います。

ワークショップ:チームプロジェクトを考えよう



山崎さんからコミュニティデザイン×情報発信を教えていただいた後は、さっそく実践へ!自分たちを主語にしたプロジェクトを川上村で始めるなら?というお題のワークショップです。まずは個々人が興味のあるテーマをシートに書き、それを見せ合いながら、似ているテーマを書いている人たちで集まってチームを作りました。



その結果、「自然」「子ども」「拠点づくり」「ダム」の4つのテーマに分かれて話し合いをスタート。まずは各自が掲げたテーマについて共有していくことから始めました。





川上村の全体マップや、場所と人物の情報を記したカードを参考にしながら、プロジェクトのターゲットと活動内容、話を聞きに行きたい人を考えていきました。短時間ながらも内容をまとめて、ワークシートに書きこんでいきます。

どんなチームプロジェクトができたかな…?



タイムアップ!ということで各チームより、チームプロジェクトを発表していきました。1つ目は、「川上村秘宝館(ダムに沈まなかったわが家のお宝)プロジェクト」。川上村のルーツの発見やシビックプライドの向上をテーマとして、ダムに沈んでしまった家から持ち出した秘宝を通じて歴史を語り継いでいくという取り組みです。ゆくゆくは「秘宝館」として展示していくと(笑)川上村、たしかにたくさんの秘宝が眠っていそうです…。


2つ目は、「水ソムリエプロジェクト〜世界一水にうるさい村〜」。水をつかったモノづくりをするということで、水くみができる場所をマッピングして利き水体験などを実施。そして水を活用したお酒づくりなど、川上村にしかないメニューづくりをしていきたいというものです。川上村といえば「水」。水源地の水のおいしさは地元の人にとっては当たり前ですが、そうでない人にとってはとても新鮮ですよね。うまく発信したいものです。


3つ目は、「KOIYA(こいや)プロジェクト in 川上村」。自分たちが楽しいことをする場所として、参加者の1人がこれから住む予定の家をリノベーションしようというものです。家はIKEAではなくて、川上村にKOIYAと(笑)。吉野杉・ヒノキを感じることのできる暮らしの体験や、村民・村外の人たちが交流できる場所にしていきたいとのことです。


4つ目は、「よしのの子ども集まれ!!プロジェクト」です。自然の遊び場づくりということで、川上村にいる 山遊びの達人・達っちゃん こと辻谷達雄さんが整備されてきた森で、子どもが遊べる場所をつくろうというもの。最近、森のようちえんなど、自然の中での子育てが注目されています。川上村にはこんな自然の遊び場がある!というのは、これからの子育て世代にとって魅力的かもしれません。


最後に、4つの発表を聞いた山崎さんからアドバイスをいただきました。秘宝館をつくること自体を参加型のプロジェクトにするとよいこと、特産品開発はそのプロセス自体を発信していくこと、ハンディハウスプロジェクト など参加型家づくりの事例、子どもの遊び場を子供たち自身でつくること自体が遊びになること、など、発想の広がるアドバイスでした。

「むらメディア」のこれから



川上村ではこれから、新しいメディアの開設に向けて準備を進めていきます。この3回講座で学んだノウハウと、今回考えたアイデアを手がかりにしながら、修練場の皆さんと一緒に「『自分たち』を主語とした情報発信を進めていきたいと思います。ここからは、今回のワークショップで挙がった人たちに取材にいくなど、修練場「続編」を予定しています!

たくさん頭を使った後は・・美味しい手料理で交流会!




最終回ということで、「これからもよろしくお願いします!」な交流会を開催!今回は川上村で ブッシュマン という食事処を営む泉さんによる手料理です。手づくりコンニャクや厚揚げなどなど…煮物と揚げ物に、おにぎりに漬物。ご本人が来てくださり、食事を紹介してくださいました。若い人が多いことも考慮にいれたメニューにしてくださったそうです。(笑)



それぞれの普段の取り組みや将来の話まで…2時間以上たっぷりと盛り上がりました。たっぷりあった食事も見事に完食!こんなに美味しいものを食べてしまうと、また川上村に来たくなりますね(笑)

むらメディア修練場、講座は今回で終わりますが、今後もメディア開設に向けて動いていきます。その様子もレポートしていくので、引き続きよろしくお願いします!

2016年12月7日水曜日

第2回むらメディア修練場を開催しました!


地域メディアを学ぶ3回講座「むらメディア修練場」、第2回を開催しました!この講座では、水源地の村づくりにとりくむ奈良県川上村で、村づくりのコンセプトや活動をWebサイトを通じて魅力的に発信する仲間を募り、情報発信のノウハウを一緒に学んでいくことを目的としています。

モリジュンヤさんを講師として「取材の極意」を学んだ前回に続いて、今回は元 greenz.jp 編集長/京都精華大学特任講師の兼松佳宏さんを講師として「企画・編集の極意」を学びました。

講座前に:持ちよりランチ会!






今回は講座前に、午前中は参加者同士で村内をめぐり、お昼ごはん時には、各自が全員にシェアできる食べものや冊子などを持ちよってランチ会を開きました。自家製おでんに柿、みかん、ドリンク、ガイドブック、お菓子…などなど、持ちよったものを紹介しながら、和やかな交流会となりました。

講座開始!まずは「あいうえお」作文で自己紹介





ランチを終えて、いよいよ講座開始。今回のテーマは編集。それは言葉を考え出したり、取捨選択したり、という言葉を使った創作活動です。まずはその導入として、自分の名前の一文字ずつを頭文字にして、自分を紹介する作文を作るという言葉あそびをしました。制約があるからこそ意外なアイデアを思いつくことがあります。今回も、これまでの会話では知らなかった参加者の側面を共有することができたようです。

メディアについて。greenz.jp をヒントに。




今回は「企画・編集の極意を学ぶ」ということで、兼松さんより記事づくりのノウハウを教えていただきます。いきなり自由に記事を書くというのも難しいもの。まずは文章を書く型を1つ身につけて、それを自分でアレンジしながら色んな型を増やしていくと書きやすくなっていく。ということで今回は、greenz.jp(以下、グリーンズ) の型を学びます。


はじめに、グリーンズはどんなメディアなのかを紹介していただきました。まずはクイズから。例えば、横浜市長選である地区の投票率が4%あがった。その方法は? …答えは「 街中に矢印を貼った 」。このようにネガティブな気持ちをポジティブに、しかもシンプルな方法で変えていく事例をグリーンズでは紹介されています。


そんな事例を紹介するにあたって、グリーンズが大切にしている基準。「発見」(一言でいえる驚きがある。)、「思い」(背景に個人的な熱い思いがつまっている。)、「成果」(具体的な成果を出して成功している。成功者の失敗談を大切にする。)このように、川上村のメディアを考えるにあたって参考になる要素をたくさん教えていただきました。

「マイ企画」とは?

記事を企画するにあたって大切にすべきことも教えていただきました。企画の種は自分の中にある。ということで、「○○といえばわたし」を見つけることが大切。それが「みんなの興味」と重なると、企画になっていきます。
しかしそれだけだとライバルが多いので、「○○×○○といえばわたし」と考えること。例えば兼松さんは空海が大好きで、「空海といえばわたし」としていましたが、空海に詳しい人はたくさんいるので、「 空海とソーシャルデザイン 」というテーマを掲げています。このように、自分だからこそ掛け合わせることのできるキーワードを探ることが、自分だからこそできる企画(=マイ企画)につながっていきます。

いよいよ、記事づくりに挑戦!



メディアづくり、企画づくりのエッセンスを学んだ後は、いよいよ実践!グリーンズの型に沿って、グループワークで記事を書き進めます。グループで話し合いながら進めることで、様々な発見が生まれます。今回は川上村に住まれている4名の参加者の取り組みを題材として、記事を作りました。



前回の取材内容をもとに、本人に追加取材をしながら、記事にするキーワードを整理していきます。中でも情報量の多い「承」をまとめていくのに苦労し、「こういうことなのかなあ?」と本人も一緒に頭を悩ませながら話し合っていました。




「取材対象の人に新しい気づきをもたらそうとする、"エディターシップ" を大切に!」という兼松さんのアドバイスの通り、あの手この手で情報を引き出す "編集者" たち。話し合いながらの記事づくりはとても白熱し、冬であることを忘れるくらいに熱気が立ち込めていました。

どんな記事ができたかな…?



外もすっかり暗くなったころ、いよいよ作った記事を発表!「型に沿った文章をそのまま読んでください」という兼松さんの指示のもと、4名が班を代表して記事を読み上げてくれました。例えば以下のような、素敵な記事ができあがりました!




完成した記事のストーリーに、みんな感動…!兼松さんもこのリアクション(笑)各班の発表に1つ1つに対して、「〜の部分はさらに詳細があるとわかりやすくなる」といったアドバイスをいただきました。

次回は…コミュニティデザインを学びます!


次回12月11日(日)は、いよいよ最終回!studio-L代表の 山崎 亮 さんを講師として、地域の人たちによる課題解決をデザインの力で支援する「コミュニティデザイン」を学びます。どうすれば地域と一緒に楽しく情報発信できるのか、みんなで一緒に考えたいと思います。

2016年12月1日木曜日

第1回むらメディア修練場を開催しました!



地域メディアを考える3回講座「むらメディア修練場」、に第1回を11月26日(土)に開催しました!


この講座では奈良県川上村を舞台として、受講生のみなさんと地域の情報発信を学んでいきます。

はじめに:この講座について

 

川上村は、吉野〜紀の川水系の水源地にある村です。人口約1,300人、森林面積が約95%というこの村では、約740haの原生林を購入し、保全するなど、「水源地の村づくり」に取り組んでいます。今回の講座は、村づくりのコンセプトや活動をWebサイトを通じて魅力的に発信する仲間を募り、情報発信のノウハウを一緒に学んでいくことを目的として開催しています。

 



3回シリーズの第1弾は、「取材の極意を学ぶ」をテーマとして開催。まちづくりやコミュニティデザインの情報を発信するWebメディア「 マチノコト 」編集者などを務める モリジュンヤ さんを講師として、取材のノウハウを学んでいきます。

まずは、受講生みんなで自己紹介!




今回は18名の応募のうち、15名が参加。在住地をもとに色分けした名札をかけながら、全員で自己紹介しました。大阪や三重、愛知など遠方からの参加者もいて、職業もカメラマンや地域おこし協力隊、広告代理店勤務や公務員など様々。多様性のあふれる講座となりました!

レクチャー開始!まずは「なぜ書きたいのか?」



さっそくレクチャーに入ります。まずはライターとしての目的の整理から。「どうして書きたいのか?」「誰のために書きたいのか?」「何を書きたいのか?」「どんな変化を生みたいのか?」という4つの問いに答えていく形のワークです。




受講生からは、こんな意見が出ていました。


取材の準備をしよう



ライターとしての目的を整理したあとは、記事を作る上で最も大切な情報源となる取材の準備方法についてのレクチャーです。今回は「なぜ今、”地域”なのか?」というテーマで受講生同士で取材をおこない、受講生が「地域」について考えていること、取り組んでいることなどを明らかにしていきます。



取材前にやるべきこととして、「①取材の目的を明らかにする」「②取材対象をリサーチする」「③質問事項リストを作成する」があります。今回の取材対象は受講生なので、①③に取り組みました。

さあ、いよいよ取材です!


取材前の情報整理を終えて、いよいよ取材へ。受講生同士でインタビューを行います。インタビューのコツとして、「目線や声、トーンなどにも気を配る」「発言を復唱する」「沈黙を恐れない」「発言を拾えない時は、投げかけてみる」「抽象度の高い話の場合、確認する」というポイントをモリさんから教えていただきました。


3人1組となり、AさんがBさんをインタビューする様子をCさんが観察、次はBさんがCさんをインタビューする様子をAさんが観察…という流れで取り組みました。

   

観察していた人は、インタビューの後に2人へ感想を伝えます。インタビューをする/受ける/観察する、の3つの立場を経験することで、インタビューについての理解が深まりました。


インタビューを終えたあとの、受講生の感想です。


次回は…記事を書きます!




次回12月4日(日)は、 元 greenz.jp 編集長/京都精華大学特任講師の 兼松佳宏 さんを講師として「編集の極意」を学びます。今回の取材メモを使って、実際の記事にしていく方法を学びます!また次回の講座が始まる前に、受講生は自分たちで連携しながら、川上村の村内を見て回ります。どんな発見があるのか、感想がとても楽しみです。

講座のあとは…地元の手料理で交流会!



 

約3時間じっくりと取材について学んだあとは…エネルギー補給!ということで初日の今回は、地元の手料理を食べながら交流しました。この料理は、川上村の主婦たちが運営するカフェ「アルボールかわかみ」による手づくりです。地元から仕入れた野菜やアマゴ、コンニャクなどを使った、ボリューム満点のお料理!おにぎりもおいしい〜!


おいしい食べものを味わいながら、次回までの村めぐりに向けて作戦会議。村内からの受講生から情報を集めながら、マップを見てルート検討です。さてさて、どうなるやら…!?